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地層が露出している道沿いの場所を,「露頭」といいます。これは,露頭を観察している地質屋の姿(実は呆然としているだけかも...→モデルは私)。

これが層序学の原点です。これの積み重ねが,「地球の歴史」になっていくわけ。ふーん。ほんまかいな?

上の写真のような堆積岩は,もともとは「堆積盆地」の内部にほぼ水平に堆積したものです。「堆積盆地」とはすなわち地球表面の「へこみ」であり,陸地で削剥された砂粒・泥粒が堆積する場所です。下の図は,西ヨーロッパの北海の海底下の大規模な堆積盆の内部の様子を表しています(Ziegler, 1982)。下部のほうは断層運動でかなり変形を受けていますが,全体として大きな盆状構造をしていることがわかるでしょう。地層ができつつあるところでは,地層は皆,このように地下に存在しています。では,いったいなぜ,上の写真のように,露頭で地層をみることができるのでしょうか? ※ちなみに,図中の黒丸は,油田の場所です。北海は世界最大級の油田地帯のひとつです。世界の油田はすべて,堆積盆地の内部に存在しています。
下の写真は,アメリカの人工衛星スペースシャトルの宇宙飛行士が,宇宙船の窓から撮影した地球の様子です。中央より左側の陸地はイラン南部のザグロス山地,右上の赤っぽい色の陸地はアラビア半島の北東端(オマーンとUAEの一部)です。両者に挟まれた大きな内海はペルシャ湾で,画面上の海峡が,ホルムズ海峡です。画面の下端には,チグリス・ユーフラテス川がつくる三角州の一部が見えています。(写真の上側がほぼ東) ここでは,ザグロス山地をよーく見てください。なんだか柿の種みたいな形をした山地が無数に集まっていることがわかるでしょう。この柿の種のひとつひとつは巨大な背斜構造であり,この背斜の集まりは,ザグロス山地が地球の「シワ」であることを示しています。     photo by NASA/ Mission STS-101, May 2000
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そして,ザグロス山地の露頭で見られる岩石がことごとく堆積岩であることは,この「シワ」が「シワ」になる前は,この場所は堆積盆地だったことを示しています。そして,その前に広がる碧い海のペルシャ湾は,今現在の堆積盆地です。昔の堆積盆地が,今は山地になっています。今の堆積盆地も,いつかは隆起して陸や山になるかもしれません。

それゆえ,露頭で地層を調べることにより,今は山地や陸地になってしまった地質時代の堆積盆地について,その発達過程を復元することができるのです。堆積盆地の形成と発展・消滅,そして山地形成のダイナミックな歴史を構築していくことが,層序学の究極の目標のひとつです。


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