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佐渡島の新生代化石
-湖の時代から海の時代へ-
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80万年前の佐渡:沢根(沢根層)の微化石
顕微鏡で観察する大きさの化石を
微化石と総称します.原生生物(単細胞)から多細胞生物まで,さまざまな生物が含まれます.いずれも生物がつくりだす殻や骨格などが化石になったものです.
沢根の崖をつくる砂層や泥層(沢根層)にも,多種・多様の微化石が含まれています.これまでに,
放散虫,有孔虫,
珪藻,渦鞭毛藻,円石藻,コケムシ,貝形虫,海綿の骨針,ウニの棘,微小な貝類などが確認されています.
それらの生活の型は,海の底に暮らすもの(ベントス)から海中に浮遊するもの(プランクトン)までさまざまです.いろいろな環境に生息していた生き物が,一握りの砂や泥のなかにいっしょに入っているのです.
微化石の持つ情報は多様です.主要なものとして,年代と環境についての情報をあげることができます.
微化石の形は,時代とともに変化します.微小な生物も進化して形態を変化させるのです.特定の形を持った種は,特定の時期にだけ生息していたことが,これまでの長い研究の積み重ねの中でわかっています.形と年代の対応関係を適用することにより,微化石を含んでいた地層の年代を明らかにすることができます.実際,沢根の崖をつくる地層も,微化石によって年代が推定されています.
環境については,現在生きている生物のと比較が重要です.現在の日本列島の太平洋側には,南から北上する暖流(黒潮)と北から南下する寒流(親潮)が流れ,関東の沖でぶつかっています.また,日本海には親潮の分流にあたる対馬海流が,対馬海峡から流入して北上しています.それぞれの海流は,水温や塩分が異なるため,そこにすんでいる生物の種類が異なります.海流が生物の分布を決めているわけです.現在の生物分布の知識を利用すると,微化石の種の組合せから,過去にどのような海流の影響下にあったかを知ることができるます.